でべろぐ(仮)

Facebookにはクドすぎる文章を仮置きする場所をつくりました。

クロード・モネを見に行こう

印象派絵画にのめり込むための4つのSTEP

 

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STEP1.

まずは絵画の風景が自然に見えるポイントを見つけましょう

(作品のすぐ目の前より少し引いたあたりがおすすめ)

 

STEP2.

次に“光と影の当たり方や色”、“草花や水・空・雲の描き方”などから、季節・時刻・温度・湿度・風の流れなど、その風景の空気感を想像しましょう

 

STEP3.

そして20世紀初頭のモネがその目で見て感じた景色を追体験するイメージで、目の前にある“風景”をぼんやりと眺めましょう

(一点に集中せず、全体をぼんやりみるのがポイントです)


STEP4.

睡蓮の浮かぶ水面の位置・水面の下で揺らめく水草・水面に映り込む柳の葉が、それぞれ立体的に浮かび上がってみえてきたら成功です

そのまま立体化した風景に没入し、『そりゃ絵も描きたくなるわ』とか『映えるわー』とか呟きながら、美しい風景を堪能しましょう

 

没入後の風景の楽しみ方は自由です。

ただ眺めるも良し、歴史やゆかりの人物について理解を深めるも良し、写真に夢中になるも良し

現実の景色の楽しみ方と一緒にです

人それぞれでよいのです

 

近場の公園にリフレッシュしに行くような気軽さで、クロードモネを見に行こう

 

 

ビュールレ・コレクション 至上の印象派

会期:2018.2.14〜5.7

会場:国立新美術館(六本木)

公式サイト:至上の印象派展 ビュールレ・コレクション

 

 

《おまけ 》私的没入後の楽しみ方

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1.近づいてみる

 

・全体として風景を堪能したら、今度は制作中のモネの視点を体感するつもりで、ぐっと顔を近づけ、部分部分の細かな絵筆の流れや色の分布を観察してみましょう


・そして、全体と部分を行ったり来たりしながら、全体の立体感に対して、部分の細かなタッチがどのように影響しているかを発見し、『なんでこんな寄った状態で全体が整うように描けるんだ』とか呟きながら感嘆しましょう

 

 

2.画家の気持ちを察してみる


・絵画と写真が決定的に異なるのは、絵画は画家の“目”というフィルターを通した景色であるということですので、画家にとってその風景がどのように見えていたのかを想像してみるのも楽しみ方の一つです


・画家の経歴・制作時の状況・時代背景などの情報を、展示されているキャプションなどを中心に読み解き、画家が絵にした風景をどんな心境で見ていたのか、もしくは風景からどんな空気を感じ取ったのかを想像してみましょう


・そして、『なんか貧乏時代だからか暗いね』とか『ブルジョア共が浮かれてるね』みたいなことを呟きながら、画家の気持ちを勝手に代弁して盛り上がりましょう

ディズニーシーで絵画鑑賞を嗜もう 〜コンセプト“大人向け“について考える〜

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1.まぁ見てよ、この溢れるような色彩の輝き、理屈抜きに美しいでしょう
 
 
突然だけど、僕は絵画鑑賞を趣味の一つとしている
 
好きなジャンルは近代西洋絵画、もっといえば印象派(モネとかルノアールとか)の“次”の世代に位置付けられる『新印象派(点描主義)』の絵画が特に好きだ
 
 
 
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ポール・シニャックマルセイユ港の入り口』
 
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アンリ=エドモン・クロス『山羊のいる風景』
 
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マクシミリアン・リュス『ルーブルとカルーゼル橋、夜の効果』
 
 
自分で貼っておいて言うのもあれだが
最高に見惚れるラインナップだ
 
 
何がそんなに魅力かって
 
この現実離れした圧倒的鮮やかさが
 
網膜上の光の現象を完全再現するために、科学理論に基づき編み出された“点描技法”をベースに

目には見えない感情の動きや空気感を、色彩そのものの象徴性によって表現しようという
 
写実主義の追求から生み出されているという逆説
 
 
アイザック・ニュートンから始まる色彩研究史の実践として到達した科学的芸術革新
 
ときめきを感じずにはいられない
 
 
待て、慌てないでほしい
 
こんな話をしたところで、お前の趣味の話なんざクソほどどうでもいい、と思われるオチであることは重々承知している
 
だがしかし誰かに話したいこの欲求、その捌け口としてこの場を利用することをお許しいただきたい
 
 
 
 
2.ディズニーシーでスーラに出会う
 
 
先日、ディズニーシーに行ってきて、閉園までがっつり遊んできた帰りのこと(値上げ直後のタイミングだったけど、普通に混んでた)
 
キャプテンデイビスに別れの挨拶を済ませ、メディテレーニアンハーバーを抜ける帰路の途中
 
何の気なしに寄り道したショップの粉砕タイルのカラフルな内壁が可愛いくて
 
 
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この色彩感、まるで点描画のようだなーと思いつつ
 
よくよく見てみると
 
 
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え、これって↑
 
 
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ジョルジュ・スーラ 『グランドジャット島の日曜日の午後
 
、、、マジに点描画が飾ってあるではないか
 
 
スーラは、印象派の筆触分割に科学理論を取り入れ点描画法を発明した張本人、いわば新印象派のパイオニア的存在であり、『グランドジャット島の日曜日の午後』は彼の代表作だ
 
そのパロディがなぜかディズニーシーのお土産屋の一番目立つ位置で、カラフルな粉砕タイルに囲まれて飾られている
 
まるでスーラの点描画の色彩が、現実世界に溢れ出しているかのような、流石ディズニー、まるで魔法のような演出だ
 
そんなふうに思った
 
 
 
 
3.他にもまだある名画パロディ...ゴッホ、ウォーホル、ロートレックポロックピカソ...
 
 
店内の壁面を見渡すと、有名絵画にディズニーキャラクターをmixしたパロディ画が、スーラ以外にもいくつか飾られていた
 
 
が、残念ながら写真に残していたのはスーラパロだけなので、その他の絵は記憶を頼りに元ネタの方で紹介していきたい
 
 
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フィンセント・ファン・ゴッホイーゼルの前の自画像(画家としての自画像)』
×
 
グーフィーがパレット持ってたから多分これだと思う
 
 
 
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×
プルート
 
調べたら同じウォーホルによるシルクスクリーン作品で、ミッキーマウスを題材に使ったものもあった
 
 
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パロディをパロディするみたいな、わけわからんことになってて面白い
 
 
 
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トゥールーズロートレック『Troupe de Mlle Elegantine』
×
ダチョウ
 
名前は知らないけどなんか見たことあるダチョウがダンサーに扮してた
 
 
 
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×
 
元ネタ自信ない、確かこんな感じの割とカラフルな絵だった気がする。これのどこにミッキーが入り込む余地があるんだって話は、実際に見て確かめて下さい
 
 
あとキュビズム絵画にチップとデールを混ぜたようなのもあったけどこれの元ネタは全然わからんかった、ピカソか?
 
 
 
 
 
それにしても
 
開業から15年目にして、今更気がつくことが新たにあろうとは
 
流石大人向けのコンセプトを自称するだけのことはある
 
アルコールを売ることだけで『大人向け』を謳ってるんじゃねーんだぞと
 
もしかしたら
 
10代の自分では今回の名画パロの仕掛けに気がつけなかったように、20代の自分ではまだ気づけていない『大人向け』の仕掛けがパーク内の至る所に潜んでいるのかもしれない
 
もしかしたら
 
30代、40代と人生の熟練度毎に開放条件が設定されていて、25歳の自分じゃまだディズニーシーの『大人向け』要素の25%しか開放できていない状態なのかもしれない
 
100歳まで生きて開放率100%になった時のコンプリート報酬は、一体どれほど大人向けの代物になるというのだろうか
 
なるほど
 
これがディズニーのファンマーケティング戦略
 
これがディズニーのLTV(ライフタイムバリュー)戦略
 
違うか
 
何を言ってるんだ僕は
 
 
一応、ショップの詳細は下段記載の通り
 
シーに遊び行く機会があったらば、立ち寄ってみたらいいんじゃないでしょうか
 
そして少しでも共感が貰えたならば、僕は本当に嬉しい限りに思います
 
 
おしまい
 
 
 
 
ショップ名『ガッレーリア・ディズニー』
アーティスト気分で楽しめるモダンなお店
あふれる色彩、モダンなイタリアンデザインの内装、名画を模したディズニーキャラクターの肖像画など、アーティスティックなムードがいっぱい!お気に入りのグッズを、センスあふれる芸術家になった気分で選んでください。

公式サイト【公式】ガッレリーア・ディズニー|東京ディズニーシー|東京ディズニーリゾート

 
 
 
 
 

東京の街並みに、美学はあるのか

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1.再読 街並みの美学
 
 
学時代、入学前の課題図書として配られた(買わされた?)本を改めて読んでみた
 
最初に読んだのはもう7年も前になる
 
やれやれだ
 
 
http://www.amazon.co.jp/街並みの美学-岩波現代文庫-芦原-義信/dp/4006000499
 
 
日本人と西欧人は、空間領域の認識の仕方が根本的に異なることについての説明から始まり
 
そのことが現代の日本と西欧の街並みの違いに、如何なる作用を及ぼしているか
 
もっと直接的に表現すると、なぜ日本の街並みは西欧と比較しこんなにも醜いのかを
 
広場や街路など都市空間の構成要素毎に考察する
 
特に日本人の空間認識についての解説がかなり自分にも身に覚えのある内容だったり、知ってる街が事例としてたくさん出てきたり、素人でも親近感を持って抵抗なく読み進めていける
 
なるほど、これから街並みの良い悪いを学ぼうとする新入生にぴったりな内容
 
 
当時の教師陣にグッジョブと言ってあげたい
 
 
ここでな、この本の中で街並みを豊かにする要素の一つとして提言されている『建築の正面性』を手掛かりに
 
東京の街並みについて思いついたことをだらだらと書いていく
 
 
 
 
2.まず『建築の正面性』ってなんぞや
 
 
超ざっくり平たく言ってしまうと
 
・ヨーロッパのイケてる街は、重要建築物(教会、宮殿、市庁舎等)が真正面から見えるように計画されていて
 
・金と時間をかけた魅力度の高い重要建築物の正面全部が視界に入るわけだから、ヨーロッパの景観は必然的に魅力的
 
って理論
 
 
で、その建築物の正面を眼球を動かすことなく視界に収めるには、建物高さの2〜3倍の距離を取る必要があるから
 
ヨーロッパの重要建築はだいたい広場とセットになってるか、主要街路の終点(始点)に配置されていて
 
美しい建築物と一体的に都市空間も整備されているので、街並みも美しくなって当然ですね
 
というわけ
 
 
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凱旋門@パリ

 
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etc...etc...
 
 
確かに、卒業旅行で行ったイタリアの街並みを振り返ると、ことごとく目立つところに目立つべき建築物が配置されていたなぁと思い出される
 
 
古代ローマ時代からの都市の歴史を考えれば、戦後数十年の東京の街並みなんて、インスタントすぎて勝負にすらなってないっすね
 
と、当時はふてくされ気味に納得していたが
 
 
いま改めて『建築の正面性』の観点から考えてみると、歴史の浅さを要因とする建築物の質と量のハンディキャップは仕方ないにしろ
 
都市空間と建築との関係性の改善を考えれば、日本のしょぼくれた街並みを少しはマシにできるんじゃないの?という気がしてくる
 
 
 
 
3.東京に当てはめて考えてみる
 
 
実際に前述の正面性の視点を日本の街並みに当てはめるべく、とりあえず東京都心部に絞って考えてみる
 
 
正面性の確保には、
  1. 広場とセットにする
  2. 街路の終点(始点)に配置する
いずれかの方法により、建築のファサード全体を真正面から視界に収めるために充分な距離(建物高さの2倍の距離)を確保する必要があるが
 

残念ながら、①の広場との連携による正面性の街並みについては、誰しもがすぐに想起できるような印象的な事例は無いように思う

 
 
恐らく、広場とのセット開発を民間でやろうとすると、一般的には広場で建物面積を削られた分、建物を高く積むことで収益性を確保することになり
 
建物全体を視界に収めるための必要距離も長くなるため、結果として広場の確保はできても正面性ある街並みは実現されないためと思われる
 
 
また、広場整備の促進を目的とした総合設計制度や特区の設定等の、開発時に一定規模の広場を整備すれば、その対価として容積率割増や高さ制限を緩和を受けてビルをデカくできるという制度の存在も
 
広場による正面性の実現をますます遠ざける要因として働いている
 
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極端な例を挙げると
 
六本木の東京ミッドタウンは、港区立の檜町公園と隣接することで、少なくとも20,000㎡は超えると思われる都内有数の広場空間を一体的に整備しているが
 
広場を大きく整備したことで、当初480%の容積率が670%まで緩和されており
 
最終的な建物高さはスカイツリー・東京タワーに次ぐ都内3番目の248mにまで積み上げられたことで、正面性の条件を大きく逸脱する結果となっている
 
 
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参考までに数字の検証をしておくと
 
ミッドタウンの建物高さ248mを視界に収めるために必要な距離は、その二倍の約500mということになるが
 
実際のミッドタウンの建物から、敷地公園内の最も離れた地点までの距離はおよそ200mで、必要距離の半分も満たない
 
 
というわけで
 
東京都心部において現実的に正面性ある街並みが成り立つとすれば、見通しの良い街路がまっすぐに伸びた先に、当該建物の真正面がぶつかるような、そんな街並みと思われる
 
欲を言えば街路は歩行者専用であるか、建物高さのちょうど2倍程度離れた位置に歩道橋や横断歩道があって、道路のど真ん中に立って建物正面に向き合える条件であれば尚理想的だ
 
 
 
 
4.東京最強の正面性建築は『渋谷109』!?
 
 
一つも事例が浮かばなかった広場とセットの前者パターンに対し、街路との連携による後者のパターンでは、割と容易く複数の事例にたどり着くことができた
 
いずれもだれでも知ってるであろう有名どころばかりだ
 
 
まず真っ先に思い浮かんだのが、渋谷スクランブル交差点から道玄坂方面を見据えたとき、真正面にそびえるシリンダー状のあの建築物、ご存知、渋谷109である
 
 
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【渋谷109 正面性検証】
  • 建物高さは最も高いシリンダー部分で約50m
  • 距離は建物入り口から100m地点でスクランブル交差の横断歩道手前に差し掛かり、駅側に渡った歩道までがちょうど150m
 
 
驚くほど理想的な数値でテンション高まる
 
 
東京の過密性と多様性を象徴するかのように、1日あたり50万人もの不特定多数の人々が行き交うスクランブル交差点から
 
真っ直ぐに道玄坂方面を見据えるとき、ちょうど視界いっぱいに109ファサードの上下がすっぽり収まる
 
 
偶然にしては出来過ぎじゃあなかろうか
 
 
特筆すべきは、建物単体としての知名度もさることながら、スクランブル交差点やハチ公前広場など、駅前周辺の都市空間と一体的に想起される点で
 
例えるなら、自由の女神像の写真を見て、反射的にニューヨークと思い浮かんでしまうのと同じレベルで
 
いち商業ビルである渋谷109が渋谷の街そのものとほとんど一体化して認知されるに至っている
 
 
このように、建物と都市空間がひとつの塊として記憶される点が、正面性のある街並みの特徴といえると思う
 
 
ところで、渋谷109は竣工1979年と、すでにopenから35年以上も経っているかなり年季の入った建物だ
 
当たり前に、東急プラザ表参道原宿、東急プラザ銀座等のいまどき商業ビルと比較すると、見た目のインパクトでは大きく劣る
 
 
それでも、次々openする新規施設に埋もれることなく、今尚街の象徴であり続けているのは
 
土地建物の配置的な意味でも、人々の脳内イメージとしても
 
一建物が正面性によって街そのものと完全に一体化することで、忘れたくても忘れようが無い次元に達しているためであるといえると思う
 
 
この渋谷109の事例から言えることは
 
計画される建物が
 
たとえヨーロッパの教会建築のような歴史蓄積を持たずとも
 
有名建築家によるネームバリューに頼らずとも
 
都市空間との関係性に配慮し、建築の正面性を理想的な条件で確保することができれば
 
都市のアイデンティティ形成に貢献し得るという前向きな事実である
 
 
※ちなみに売り上げの方はH&M等の外資ファスト系の上陸以降だだ下がりで、ピーク時から100億近く落としている(逆にすげえ)
 
※渋谷パルコも1973年竣工の同世代で再開発決まってるし、渋谷109もそろそろかもしれない...
 
 
 
 

5.当たり前のように正面性建築、浅草寺と東京駅

 
 
建物単体では大したことない(少なくとも素人にはそう見える)渋谷109に対し
 
そもそもの建物自体の価値に加えて、更に正面性が上乗せされることで無敵の知名度を獲得しているパターンとして思いついたものを2例書いておく
 
 
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【東京駅駅舎 正面性検証】
  • 建物高さは尖塔部含め約45m
  • 丸ビル・新丸ビルに挟まれる行幸通りまでの距離、約100m強
  • 特例容積率適用地区の制度を利用した唯一の事例。駅舎部分の余剰容積を新丸ビル他周辺高層ビルに売却することで、事業性を確保している
 
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浅草寺本堂/雷門 正面性検証】
  • 高さ:本堂29.4m / 雷門11.7m
  • 仲見世通り本堂ー雷門 間の長さ約250m、雷門前スクランブル交差点南北長さ、約30m(雷門前が交差点がスクランブルだったことに驚き。必然性がすごい。)
 
 
細かい分析はさておき、こういう有名どころが当然のごとく正面性の条件を満たしてくるあたりに、名所が名所たる必然性が表れているようで面白い
 
 
 
 
6.それでも美学を持つことが大事だと思う
 
 
正直なところ、これを書き始めた段階では
 
経済効率至上主義的に戦後数十年の急拵えで構築された東京で、街並みの美学とか建築の正面性とかそんな綺麗事成立するわけねえだろという先入観から
 
『東京の街並みが貧弱なのは、建物と都市空間との結びつきの弱さ=『建築の正面性』の欠如に起因する』
 
みたいな、自虐方向の内容で考えていたのだけれども
 
パッと思いつく有名どころをいくつか検証してみただけでも、意外にもばっちり正面性の条件に当てはまっていたりして
 
逆に結論書きづらくなって困っちゃうなぁという感じですが
 
少なくとも『東京の有名スポットを調べてみると、ヨーロッパの街並みと同様に、正面性の条件を満たしていることが意外と多いらしい』というだけでもまぁまぁ面白い気がするので、とりあえず良しとしておきたい
 
 
正面性の街並みは
  • 見通しがよくわかりやすい
  • 写真うつりもいい(今の時代結構重要だと思う)
等々の理由で、シンプルに目立つし人も集まりやすいエリアとなるわけで
 
集客力や視認性は金儲けに直結することだし
 
投資回収に向けて適正な収益性が求められる開発事業の自然なロジックとして、正面性の確保を検討してみる価値は十分ありそうですね
 
というのが、いまの時点でのとりあえずの自分の結論です
 
 
『街並みの美学』というと、いかにも綺麗事な感じがするけど
 
言いたいことも言えない数字に縛られがちなこんな世の中でも、こうして考えてみると案外綺麗事に終わらせずにできることもありそうなので
 
腐らずに理想や美学を持ち続けることが大事ですね
 
 
おしまい
 
 
※文章内に記載した建物高さ・距離は、Googlemapのスケール表示による目測と、Googleearthの標高データによる、あくまで目安程度の数値になりますのであしからず

ディズニーチケット料金値上げの建前に納得がいかない

1.チケット値上げは新エリア拡張への布石


2月8日、オリエンタルランドニュースリリースより、ディズニーランド/シー両パークのチケット価格が、2016年4月1日以降6900円→7400円へ価格改定されることが発表された

2014年の200円値上に始まる3年連続の値上げで、増税転嫁後の6200円からは1200円の増

ネットでは「夢のまた夢の国』と揶揄されている


リリースの説明では
アトラクションの新規導入とサービス拡充により、体験価値が向上したため
としているが

サービスの拡充やショーの入れ替えなんかは、リピート率・客数増により回収するべきものだし

新規アトラクション導入にしたって
中長期の事業収支計画の中に初期投資の償却が進んだ段階での追加投資として、当然計画当初から見込んでいるはずのもので

お客さんに転嫁していいものじゃなくない?
と思うわけです


実際に、オリエンタルランドのIR資料を漁ってみると

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(p23参照)

2008年をピークにディズニーシーの初期投資絡みの償却が進み、以降利益率が改善していく見通し、と説明しており


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実際にその後の利益率推移は見ての通り
ディズニーシー開業前の利益率20%を超えて、2014年には23%まで改善している。


つまりは

夢の国を存続するためにはどうしてもみんなのマネーが必要なんだ!
みたいな切迫した状況はまったくなく

むしろ既存のアトラクションの償却が終わり、客数も伸びてウハウハだから、利益率の伸びはそのままに新規アトラクション作るくらい余裕なはずで

どちらかというと、2017年以降に控える新エリア増設
(p18、p29以降参照)

を始めとする、10年間で5000億円規模の大型投資による減価償却費の増分を、収入の底上げで相殺できる収支体制を整えておきたい

ってのが本音じゃないかと想像する


ファンとしてはエリア増設は大歓迎なわけだから、そうならそうとはっきり言ってくれれば普通に納得できるのにね





2.値上げ500円で築かれる夢と魔法の世界


ところで、今回の500円の値上は実際にオリエンタルランドにどれだけの収益をもたらすのか
、簡単に試算してみる


現在、ランド・シー合わせた年間入場客数は約3000万人

ここに値上額の500円を掛け算すると

年間なんと
+150億円

一ミリも汗をかかずに
一円も使うことなく
+150億円の利益改善

すごい
まるで夢と魔法の世界、まじでマジックキングダムである


当然、ディズニー側としては客離れのリスクを背負っての値上になるわけで

その他負け組テーマパークにはそう簡単に真似できるものではない

しかしながら、ディズニーであれば8500円までの値上げなら客数影響は出ないだろうというアナリストの見解もあるようで

これが正しければ、さらに1100円分(年間330億円)の値上余地を残しているということになる

凄まじい利益ポテンシャルである




仮に新エリアも含めた追加投資5000億円の償却年数を平均20年(情報求む)とした時、単年度の収支影響は△250億円


この△250億をチケット値上でカバーするには、直近3年間での値上1200円のうちの約3分の2、800円分(年間240億)で充分相殺が可能であり、 

残りの400円分(120億)は利益率改善にまるまる貢献するという計算になる


しかも、新エリアの開業により入場客数の上乗せや、それに伴うホテルや売店での売り上げ増も予測できるため、おそらく実際の利益増はそれ以上と思われる


オリエンタルランドは笑いが止まらないだろう




3.ボロ儲けのディズニーが許せない?逆に考えるんだ。あげちゃってもいいさ と考えるんだ。


断っておくが、僕は決してディズニーがズルいとか金の亡者だとか、そんな悪口を言いたいわけではない


そもそもディズニーは他のテーマパークと比較し、サービスレベルの割にはチケット料金が安すぎたという意見も多い


これまで低価格な入場料で長期的な視点でファンを育て

数百円程度ではビクともしない重度の魔法中毒者が充分に育ったところを見計らい

開業30年目、満を持して値上に踏み切ったという見方もできると思う


この戦略が、
開業30年目にして5000億円もの大型追加投資の実施を可能にしているし

利益余剰分400円(年間120億円)と、8500円を上限とした時の残り1100円(330億)の値上余地を合わせれば

現状の利益率はそのままに、今回の倍近い投資規模の新アトラクション、新エリアを更に増設することも数字上は可能である


パークが増床すれば混雑もいくらか緩和されるだろうし(伴って客数が増えれば変わらないだろうが)

何より今すでに最高に楽しめる夢の国がまだまだ成長余地を残しているという事実

重度の魔法中毒者の一人としてこんなにワクワクすることは他に無い


なんだ、たったワンコインで新エリアが一つも二つも増えると考えれば、実に安いものじゃあないか


何はともあれ、一度洗脳されたファンの大多数は、ディズニーに夢と期待を込めて生涯に渡って応援し続けるわけだから

歯切れの悪いリリースでがっかりさせてくれんなよって話です


おしまい