ディズニーチケット料金値上げの建前に納得がいかない
1.チケット値上げは新エリア拡張への布石
2014年の200円値上に始まる3年連続の値上げで、増税転嫁後の6200円からは1200円の増
ネットでは「夢のまた夢の国』と揶揄されている
リリースの説明では
アトラクションの新規導入とサービス拡充により、体験価値が向上したため
としているが
サービスの拡充やショーの入れ替えなんかは、リピート率・客数増により回収するべきものだし
新規アトラクション導入にしたって
お客さんに転嫁していいものじゃなくない?
と思うわけです
実際に、オリエンタルランドのIR資料を漁ってみると
(p23参照)
実際にその後の利益率推移は見ての通り
ディズニーシー開業前の利益率20%を超えて、2014年には23%まで改善している。
つまりは
夢の国を存続するためにはどうしてもみんなのマネーが必要なんだ!
みたいな切迫した状況はまったくなく
むしろ既存のアトラクションの償却が終わり、客数も伸びてウハウハだから、利益率の伸びはそのままに新規アトラクション作るくらい余裕なはずで
どちらかというと、2017年以降に控える新エリア増設
(p18、p29以降参照)
を始めとする、10年間で5000億円規模の大型投資による減価償却費の増分を、収入の底上げで相殺できる収支体制を整えておきたい
ってのが本音じゃないかと想像する
ファンとしてはエリア増設は大歓迎なわけだから、そうならそうとはっきり言ってくれれば普通に納得できるのにね
2.値上げ500円で築かれる夢と魔法の世界
ところで、今回の500円の値上は実際にオリエンタルランドにどれだけの収益をもたらすのか
、簡単に試算してみる
現在、ランド・シー合わせた年間入場客数は約3000万人
ここに値上額の500円を掛け算すると
年間なんと
+150億円
一ミリも汗をかかずに
一円も使うことなく
+150億円の利益改善
すごい
まるで夢と魔法の世界、まじでマジックキングダムである
当然、ディズニー側としては客離れのリスクを背負っての値上になるわけで
その他負け組テーマパークにはそう簡単に真似できるものではない
しかしながら、ディズニーであれば8500円までの値上げなら客数影響は出ないだろうというアナリストの見解もあるようで
これが正しければ、さらに1100円分(年間330億円)の値上余地を残しているということになる
凄まじい利益ポテンシャルである
仮に新エリアも含めた追加投資5000億円の償却年数を平均20年(情報求む)とした時、単年度の収支影響は△250億円
この△250億をチケット値上でカバーするには、直近3年間での値上1200円のうちの約3分の2、800円分(年間240億)で充分相殺が可能であり、
残りの400円分(120億)は利益率改善にまるまる貢献するという計算になる
しかも、新エリアの開業により入場客数の上乗せや、それに伴うホテルや売店での売り上げ増も予測できるため、おそらく実際の利益増はそれ以上と思われる
オリエンタルランドは笑いが止まらないだろう
3.ボロ儲けのディズニーが許せない?逆に考えるんだ。あげちゃってもいいさ と考えるんだ。
断っておくが、僕は決してディズニーがズルいとか金の亡者だとか、そんな悪口を言いたいわけではない
そもそもディズニーは他のテーマパークと比較し、サービスレベルの割にはチケット料金が安すぎたという意見も多い
これまで低価格な入場料で長期的な視点でファンを育て
数百円程度ではビクともしない重度の魔法中毒者が充分に育ったところを見計らい
開業30年目、満を持して値上に踏み切ったという見方もできると思う
この戦略が、
開業30年目にして5000億円もの大型追加投資の実施を可能にしているし
利益余剰分400円(年間120億円)と、8500円を上限とした時の残り1100円(330億)の値上余地を合わせれば
現状の利益率はそのままに、今回の倍近い投資規模の新アトラクション、新エリアを更に増設することも数字上は可能である
パークが増床すれば混雑もいくらか緩和されるだろうし(伴って客数が増えれば変わらないだろうが)
何より今すでに最高に楽しめる夢の国がまだまだ成長余地を残しているという事実
重度の魔法中毒者の一人としてこんなにワクワクすることは他に無い
なんだ、たったワンコインで新エリアが一つも二つも増えると考えれば、実に安いものじゃあないか
何はともあれ、一度洗脳されたファンの大多数は、ディズニーに夢と期待を込めて生涯に渡って応援し続けるわけだから
歯切れの悪いリリースでがっかりさせてくれんなよって話です
おしまい